数学者の伝記
- 作者: ポールホフマン,Paul Hoffman,平石律子
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2000/03
- メディア: 単行本
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一般の人には知っている数学者といえばせいぜいガウス、オイラーぐらいで、エルデシュと言う人は業績の割には知名度が低い。発表した論文は1475本で、これを超える論文数を提出した数学者はオイラーだけ。多くが他の数学者との共著であり、またどれも論文の質が非常に高かった。
この本は、エルデシュという人がいかに変な人で、数学をどれぐらい愛していたかがわかるものだった。歴史に名を残すような偉人というのは変わり者が多いが、エルデシュも他にひけをとらない変な人で、生活力が全くない。しかし、常にエプシロン(子どものこと)や気の毒な人に優しく接し、多くの人に好かれていたようだ。かくいう自分も、終盤でエルデシュが亡くなる部分を読んでいるときは悲しくなった。
内容は、エルデシュ自身だけでなく、エルデシュと交流のあった数学者ロン・グラハム*1や、もっと古い数学史の話など多岐に渡り、いささか散文的である。数学の予備知識としては、累乗とルートぐらいがわかっていれば大丈夫だと思う。
0 二十五億歳の男
1 ザ・ブックからそのまま出てきたような
2 エプシの謎
e サムとジョーの問題
3 アインシュタイン対ドストエフスキー
π 最悪の可能性専門博士
4 限界の報復
5 「神が整数を創りたもうた」
6 はずれ
7 生存者たちのパーティ
∞ 「わしら数学者はみんなちょっとおかしいんだ」
章のindexがいい。
この本はエルデシュの感動的な発言で終わる。エルデシュが優しい人だったことがわかる発言であり、読んでよかったと思った。
最後に、この本に登場する数学的要素を箇条書きにしておきます。
グラフ理論、メルセンヌ数、ゴールドバッハの予想、素数定理、四色問題、友愛数、完全数、ラムゼー理論、ハッピーエンド問題、高度合成数、分割数、ユークリッド幾何学、非ユークリッド幾何学、ゲーデルの不完全性原理、単位分数、フィボナッチ数、ルース=アーロン・ペア、フェルマーの小定理、フェルマーの最終定理、ソフィー・ジェルマン素数、谷山・志村予想、対角線論法、連続体仮説、モンティ・ホール・ジレンマ
*1:グラハム数で有名。